手形やシワといった痕跡が形状記憶されている家具
制作時に座面の生地と木製部分の間に流し込む液体によって発生する内側からの膨張力に対して、手などを10分程度押さえつける事で、その時の形状が記憶される。
実施に座るとその痕跡はお尻の下で伸び一時的に形状を変えるが、立ち上がるとゆっくりと元の形に戻る。
現代のiPhoneのような機器が生み出す、自己と他者の境界を曖昧にする滑らかな触覚から着想を得て、私は日々の身体を支える身近な家具であるソファを媒体として使用し、これらの痕跡は、かつてその場を占有したかもしれない身体の記録であると同時に、デジタルな触覚に慣れ親しんだ私たちが失ってしまったアナログな体の証として展示します。