和紙、刃物、箪笥、漆器、焼物と様々な工芸産地としての歴史を持つ福井県越前市に拠点を置く私たちは、この土地周辺をあえて「近所」と呼ぶことにした。今回活動の皮切りとして私たちのごく身近に存在するマテリアルである越前和紙に焦点を当てる。ご近所さんでもある職人とのコミュニケーションや素材をとにかく自らの手で触れて体感することを通して、一般的に測られやすい尺度だけでない、なるべく素直な独自の尺度をもって素材の価値を見出す。
産地としてではなく、近所としてこの地を捉えるからこそ生まれる視点の深度と軽快さを大切にした創作の試みだ。