これまで蓄光は、防災や夜間の誘導などの実用面で活用されてきた。本プロジェクトでは、その機能性にとどまらず、記憶や時間の痕跡を静かに留める詩的な素材として再解釈し、光の新たな可能性を提示する。今回の展示では、対照的な二つの素材を通して蓄光の表現を探求した。
一つは蓄光和紙。蓄光顔料を直接漉き込むことで、和紙本来の柔らかさと透け感を保ちながら暗闇で発光する。月明かりの残像のように静かに光を放つその佇まいは、空間に穏やかな余韻を生み出す。もう一つは蓄光陶器。土練りから釉薬の調合、焼成まで自ら手掛け、試行錯誤を重ねた。その結果、高温に弱いという蓄光の特性を克服し、焼成後も光を保持できる独自の技法を確立。光と土が共鳴する器として、日常に時間の痕跡を刻む。
さらに、日本各地の伝統工芸や町工場とともに共創してきた、蓄光樹脂や蓄光組紐なども併せて展示。素材ごとの異なる光の表情を通して、蓄光が持つ多様な魅力を体感できる構成としている。
DESIGNTIDE TOKYO Main Exhibition
DESIGNTIDE TOKYOのメインとなるエキシビションプログラムです。
ディレクター陣の審査により選抜された国内外の公募作品と、各ディレクター推薦のクリエイター、学生展選抜者による合同作品展です。